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研究員 福嶋 規子
家庭用電動生ごみ処理機の例
生ごみ(厨芥などの食品廃棄物)は、かつては飼料や堆肥として循環的に利用されていましたが、化学肥料や配合飼料の普及、都市化の進展などによって衰退してしまいました。生ごみは、可燃ごみの3〜4割を占めていますが、現在ではほとんどが焼却処理されています。
しかし、焼却処理への疑問や有機農業との関連などから、生ごみリサイクルは家庭や地域などの住民単位や、学校・事業所などの施設単位、また農業地域などでは市町村単位で取り組まれてきました。
そして2000年5月には「食品リサイクル法」が施行され、一定規模以上の食品工場やレストラン等は、生ごみのリサイクルが義務付けされました。これに伴い、廃棄物処理業者や資源回収業者が自ら処理機やプラントを設置し、食品リサイクルに取り組む新たな環境ビジネスの動きが活発化しています。
コンポスト容器の例
生ごみの堆肥化は、家庭レベルではコンポスト容器や生ごみ処理機の普及とともに、生ごみ減量策として徐々に広がってきました。多くの市町村で処理機の斡旋や購入補助制度を実施しています。堆肥は家庭菜園や花壇などで利用されています。
小・中学校、学校給食センターなどの公共施設、集合住宅、スーパー・デパート・ホテルなどでは、効率的に多くの生ごみが集められることから、大型の生ごみ処理機を設置して堆肥化している例や、機器を設置せずに、発生した生ごみをそのまま堆肥メーカーや農家などに引き渡している場合もあります。
集合住宅に設置した生ごみ処理機の例
また農業が盛んな地域では、家庭系の生ごみを分別収集し堆肥化施設で処理している例もあります。(北海道富良野市、山形県長井市、岩手県盛岡・紫波地区、栃木県野木町など)。
生ごみの堆肥としての利用は、処理物がすぐに堆肥として利用できず、ある期間熟成させる必要があることや、使用する時期が限られていることなどの課題があります。
学校給食残さ

食循環の観点からいえば、食として利用できるものはまず「飼料」として利用し、その後に「堆肥」として利用することが望ましいと考えられます。飼料としては、養豚・養鶏・養魚用の利用が可能です。
食品廃棄物の飼料への利用は、かつては養豚農家で盛んに行われていましたが、衛生的な問題や、配合飼料の普及等により衰退してきました。配合飼料原料は、ほとんどを輸入にたよっており、国内の飼料用穀物の自給率はわずか1%です。食品廃棄物の飼料化は、飼料自給率の向上にも寄与することとなります。
現在、おもに以下のような飼料化技術による装置が開発されています。大規模な飼料化の例としては、事業系残さから配合飼料原料を生産している札幌市、小学校給食残さを養豚用飼料に利用している鶴岡市(エコピッグシステム)、横浜市(はまぽーく事業)などの例があります。
生ごみを、廃食油等を利用して脱水、乾燥させる方式。札幌市等で実際に稼動している仕組みで、粉砕した生ごみと廃食油を混ぜ、減圧状態の圧力釜に入れて100度前後の温度で生ごみの天ぷらをつくり、それを脱油し、粉砕加工するというもの。
生ごみに高温発酵菌を加えて加熱発酵し、乾燥させる方式。生ごみに水分調整材として米糠やフスマ等を加え、さらに好気性の高温発酵菌を加え、加温・攪拌し発酵、乾燥させるというもの。
生ごみを高温の蒸気で乾燥させる方式。内部で回転する特殊なフィンで被乾燥物を内面の垂直加熱面(蒸気間接加熱)に掻き上げ、薄膜状に接触させて乾燥させるものである。
対象物を粉砕し粥状にして、高温・高圧で殺菌した後に発酵する方式。この生成物はリキッド状の生成物であるのが他の方式と大きく異なる特徴である。しかし、畜産農家の給餌システムがリキッド状のものに対応していることが前提となる。
精製した飼料

養豚農家での利用

生ごみリサイクルを進めるには、排出時での徹底的な分別が必要になります。堆肥や飼料に加工してから、異物を除去するのは非常に困難になります。堆肥にプラスチックや金属類が残っていれば、農作物をいため、土壌汚染にもつながります、飼料の場合は、家畜の栄養障害や健康被害にもつながるおそれがあります。安全性の確保という観点からも、分別の徹底が最重要課題といえます。
分別を徹底するためには、生ごみとそれ以外を分けるルールづくり、管理・チェック方法の確立、分別容器の工夫などが必要になります。そして最も重要なのは、排出者が生ごみを「資源」として認識し、分別を習慣づけていくということです。

生ごみ異物混入調査の例(横浜市・右は検出された異物)
堆肥や飼料の受け皿を確保し、有効利用の方法を確立していくことが重要になります。生ごみは排出者によって特性も異なり、日変動、季節変動もあるため、堆肥や飼料の定期的な成分分析が必要です。
堆肥の場合は、堆肥の基準づくり、成分調整の方法、作物の種類や投入時期、投入量など、飼料の場合は、配合飼料への混合率の調整、給餌の時期や方法などを実地検証しながら、有効利用のノウハウを蓄積していくことが重要になります。
生ごみリサイクルの方法は、上にあげたように多様であり、地域の特性や条件に合わせて選択し、組み合わせていくことが求められます。
システムとして動かしていくためには、分別排出→収集→堆肥・飼料化→農家等への供給→農産物・畜産物の消費者への供給、という流れをつくっていく必要があります。まずは小さな地域でモデル的に行い、それを拡大していく方法が現実的です。排出側であるごみ処理政策と利用する側の農業政策との連携も鍵になります。
また、生ごみのリサイクルコストは、市町村による焼却処理コストに比べると高く、採算面での問題が残っています。課題克服のためには、関係する主体が協力体制をとり、効率的な仕組みを構築していくことが重要になります。市町村の焼却処理コストの見直しを行い、リサイクルへと誘導する仕組みづくりなども1つの方策になります。
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